ヨウム飼育に適した温度と湿度|ヨウムの飼い方

1990年代、西アフリカにあるガーナの深い森には、1000羽を超えるヨウムの群れが生息していたそうです。
しかし、イギリスの鳥類学専門誌「lbis」に掲載された最新の研究によると、現在ガーナではヨウムの姿をほぼ確認することができない状態となっています

なぜ、ガーナからヨウムの姿が消えてしまったのかと言いますと、その原因は人間のエゴによるものでした。

鮮やかな赤と白の差し色が入った美しい灰色の羽毛に包まれているヨウムは、様々な絵画や文学作品に登場しており、欧州では古くからおしゃべりが得意な鳥として多くの人々から愛されていました。

そのため、ヨウムをペットとしてお迎えしようとする人々も増え、彼らが生息する西アフリカでは、ペット向けの乱獲が行われ、さらに彼らが住む森林を土地開発や戦争によって奪ってしまったため、どんどん生息数が減少しているのです。

2016年に南アフリカのヨハネスブルクにて開催されるCITES締約国会議では、野生ヨウムの取引全面禁止を提案する予定となっており、種を保存するうえで最も大きな成果へと繋がるのではないかと言われています。

さて、そんな絶滅の危機に瀕しているヨウムをこれからお迎えしようとお考えの飼い主さんは、彼らにとって人間と暮らすことが何よりも幸せだったと思ってもらえるように、幸福に満ち溢れた快適な生活を提供する義務があります。

そこで、今回はヨウムが快適な生活を送るための適切な温度や湿度、その管理法についてご説明します。

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ヨウムが快適に過ごすための適切な温度や湿度とは?

ヨウムは、大型インコのなかでも比較的声が小さく、言葉を覚えると叫び声を上げなくなるため、最も日本の住環境に適したコンパニオンバードだと言われています。

特にメスは、オスとは異なり攻撃性が低いので、初心者向けとされておりますが、人間と同じように反抗期がありますので、何があっても愛し続けることができる強い気持ちが無ければ乗り切ることは難しいでしょう。

ヨウムの反抗期は生涯に2度あり、個体によって反抗期が始まる時期や長さが異なります。

反抗期中は自己主張が強くなり、攻撃的になりますので、それでもヨウムをお迎えしたいという方は、彼らの住まいとなるケージやおもちゃなどの備品を購入し、彼らが快適に過ごせる適切な温度や湿度を維持できる環境を用意しましょう。

よくお迎えする鳥類の原産地の気候を再現するのが良いと言われておりますが、現在入手できるヨウムの多くが人工繁殖(ブリーティング)によって誕生した個体ですので、必ずしも原産地の気候を再現する必要はありません。

ですが、長い歳月をかけて原産地で快適に生活できるよう進化を続けてきたことを考えると、出来る限り原産地の気候を再現してあげたいと思うのが飼い主の想いではないでしょうか。

しかし、ヨウムの生息地は、西アフリカのガーナからビクトリア湖周辺、アンゴラ共和国からコンゴ共和国などの低湿地および高地の森林を中心に生息しておりますので、お迎えする予定のヨウムがどの地域出身なのかによって快適な温度と湿度が大きく異なります。

そのため、原産地の気候を忠実に再現することは難しいので、彼らが気持ち良く生活できる温度と湿度を維持できる環境を整えた方が良いでしょう。
ヨウムが快適に過ごすことができる温度と湿度は、温度20℃~30℃、湿度60%~80%になります。
高湿度の環境で生活している鳥類ですので、彼らが快適な温度や湿度を実現させるためには、ジメッとした環境に慣れること、そして真夏と真冬の時期は温度と湿度を一定に保てるよう工夫しましょう。

ヨウムが好む気温と湿度を管理する方法

ヨウムにとって、日本の夏と冬を乗り切るのは命がけです。

ヨウムは、平均気温 23.6℃、湿度80%の地域(ザイール・カレマ)に分布している鳥類ですので、平均気温15.6℃、湿度64%の日本(東京都千代田区)の気候では、大型インコにとって非常に過酷な環境であることがお分かり頂けるかと思います。

特に気温20℃を下回る冬の時期は、徹底した防寒対策を行う必要があります。

ヨウムを迎えた初めの1年は最低でも20℃をキープできるように室温を管理し、2年目以降はヨウムの様子を見ながら徐々に温度を下げてゆき、15℃~16℃の温度でキープしても問題無いとされています。

冬場の保温と加温を行う場合は、空気を汚さない電熱を利用するものがオススメです。

アクリル板などで天井を作り、ペット用パネルヒーターで左右からケージを挟み込めば、ケージ内の温度を低下させずに済みますので、冬場でも安心して仕事に行くことができます。

パネルヒーターよりも安全快適なオイルヒーターもございますが、こちらは電気代がとんでもないことになってしまいますので、電気代が安く、お財布に優しいパネルヒーターをオススメします。

コンパニオンバードを長年育てている方の場合、昔ながらのヒヨコ電球で保温を行う方もおられますが、空気の乾燥を嫌うヨウムにはオススメできません。また、彼らがヒヨコ電球に水をかけるなどのイタズラをしないように注意しましょう。

日本の冬は乾燥しているので、湿度の高い環境で生活しているヨウムにとっては体調を崩す原因となりますので、湿度が50%以下にならないよう、適切な加湿を行いましょう。

湿度管理を行う場合、ケージの置き場所には注意が必要です。

インコは気温に対する順応性があるのですが、窓の傍やエアコンの温風が直接当たる場所など短期間で気温の変動が著しい場合は、体調を崩してしまう恐れがあります。

毎日の気温差に不安を感じる方は、最高最低温度計を設置すると良いでしょう。

ヨウムを安心させながら保温を行う方法とは?

ヨウムを安心させながら保温を行いたいという方もいらっしゃると思います。

そういったお悩みを抱えている方は、ケージの奥と左右、そして上面をアクリル板で囲い、前面部分は新鮮な空気を取り入れたり、コミュニケーションを取るために開けておきましょう。

四方をアクリル板で囲ってしまうと、ケージ内の温度が高温になり過ぎた場合に熱を逃がすことが出来なくなってしまいますので、病気療養中以外を除き、アクリル板で四方を囲まないように気を付けましょう。

なお、アクリル板を接着剤で繋ぎ合わせる際は、しっかり乾燥したことを確認してからケージ周辺に持って行くようにしましょう。接着剤に含まれる揮発性の有機溶剤をヨウムが吸い込んでしまうと、死に至る危険性があります。

今回はヨウムが快適な生活を送るための適切な温度や湿度、その管理法についてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

ヨウムの原産地である西アフリカの環境を日本で再現するのはとても難しいことですが、彼らが快適に過ごせる適切な温度や湿度を維持することは誰でも出来ます。

これからヨウムたちにとって過酷な季節がやってきますので、事前準備をしっかり行い、彼らが気持ち良く夏や冬を越せるよう、飼い主さんたちは献身的に尽くしてあげましょう。

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