ヨウム検疫期間とその必要性|ヨウムの飼い方

日本をはじめ、世界の国々では動植物および食品・飼料などの輸出入やその他の生物を原材料とする物品や生物が含まれている可能性のある岩石や土壌などを一定期間隔離した状態で保管し、伝染病や病原体などの汚染されていないかどうかを確認、検査を行うための検疫が行われます。

もちろん、人間も特定の国や施設に出入りする場合は、動植物や食品などと同じく検疫を行わなければなりません。

検疫が行われるようになったのは、1347年に黒死病が蔓延した際、疫病が近東諸国からやってきた船によって持ち込まれたことに気付いたヴェネツィア共和国によって、船内に感染者がいないことを確認するために、疫病の潜伏期間である40日のあいだ、疑わしい船をラグーサやヴェネツィア港外に強制停泊させたことで誕生した法律です。

今では外来種を水際で防ぐために必要な対策として検疫が行われており、日本ではヨウムなどの海外からやってくる動植物の検疫を農林水産省が担当し、人間や飲食物の検疫を厚生労働省が担当しています。

ヨウムなどの海外からやってくる動物の場合、ペットであろうがなかろうが、必ず検疫を行います。

鳥の入国の際に検疫が必要な理由は、ヒトや他の動物たちにとって危険な病気を持ち込む危険性があるためです。

1970年代の初め、アメリカの南カリフォルニアにてニューカッスル病が蔓延し、疾病対策を行うために3年という長い歳月と5,600万ドルが費やされました。そして、1,200万羽近くの鶏たちが処分されたのです。

このニューカッスル病を蔓延させたのは、南米から輸入されたオウムが原因であることが明らかとなり、ペットとして鳥を輸入する際は、危険な感染症が広まらないようにということで検疫を設けています。

さて、鳥たちの検疫ですが、どのくらいの期間行われるのかご存知ですか。

今回はヨウムをお迎えするにあたり、日本ではどのくらいの検疫期間が設けられているのか、なぜ検疫を行う必要があるのかをご説明します。

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ヨウムをお迎えする際に必要な検疫期間

鳥類の検疫期間は最低30日とされており、期間中は検疫所の職員たちが鳥たちのお世話を担当します。

検疫所内は、検疫中の鳥たちが感染しないように、エアフィルターが付いた特別製の隔離ケージで検疫を行います。水と餌は常に新鮮なものが用意されているのですが、なかにはオウム病のキャリアが居る可能性もあるので、薬用成分が少量含まれた餌が与えられています。

検疫期間中、鳥たちは伝染病などの検査を受けるのですが、もし鳥たちが病気に感染していた場合は、入国することができず、飼い主に連絡し、安楽死もしくは自己負担で帰国させるかのどちらかを選択しなければなりません。

ですが、飼い主と共に海外旅行をする場合や検疫もしくは証明書の提出が可能と言った場合は検疫を免除することができます。

ただし、検疫を免除する場合は自国で生まれた鳥であること、農務省や自然保護局が発行する書類、農務省認定獣医師による健康診断証明書、識別番号などが必要になりますので、覚えておきましょう。

しかし、国によってルールが異なりますので、事前に確認しておきましょう。
検疫は、輸出入を行う場合のみ行えば良いというわけではありません。

既に他のコンパニオンバードを飼養しており、新たにヨウムをお迎えしようとお考えの方は、新しくお迎えするヨウムを他の鳥たちと共に住まわせる前に別室で隔離し、飼い主自ら検疫を行う必要があります。

隔離する際は先住鳥たちから遠ければ遠いほど良いとされています。

また、可能であれば、お迎えしたその日のうちに鳥専門の獣医師に健康診断をしてもらうのが最良ですので、事前に信頼できる獣医師を見つけておきましょう。

ペットショップやブリーダーから購入したから健康に問題はないと思われるかもしれませんが、ペットショップや現地にて各種伝染病検査証明証を発行してもらったからと言って安全とは言えません。

輸入元やブリーダーのもとでは健康だったかもしれませんが、輸送中や検疫所、ショップ内での感染などによって健康な個体も病気になってしまう場合があるからです。

特にPBFD (オウム類のくちばし・羽毛病)は、空気感染するため、鳥を新たにお迎えする際は必ず健康診断を受けさせましょう。

自宅で行う検疫方法

自宅で検疫を行う場合、最低でも30日間、通常40日間先住鳥たちと隔離させる必要があります。
検疫期間中は、新しくお迎えした鳥に病気の兆候は見られないかどうかをしっかり観察しましょう。

水や餌を与える際は、必ず先住鳥から与え、その後に検疫中の鳥に餌と水を与えます。

もしも隔離している鳥が病気に感染していた場合、先住鳥たちに感染する恐れがあるため、隔離している鳥やケージに触れた際は、必ず服を着替えて手を消毒してから、先住鳥たちが居る室内に入るようにします。

伝染病の恐ろしいところは、発症していなければ健康体となんら変わらないというところです。

なかでもPBFDウイルスは、エイズと同じ免疫不全症候群であるため、死に際はとても惨たらしいと言います。
PBFDはオウム目のみに感染するウイルスですので、文鳥や九官鳥には感染しません。

検疫の重要性についてご理解頂けたかと思いますが、どうしても隔離をするのが嫌だという場合は、お迎え直後に鳥専門の動物病院で検査を受けた方が飼い主にも鳥たちにも負担にならずに済みます。

お迎え前に、検疫の必要性などについて今一度考えてみてはいかがでしょうか。

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