ヨウムに関するサイテス・ワシントン条約最新情報|ヨウムの飼い方

1972年、国連人間環境会議にて「特定の種の野生動植物の輸出、輸入および輸送に関する条約案を製作し、採択するために適当な政府または政府組織の主催による会議を出来るだけ速やかに召集する」という勧告が成されました。

これを受け、アメリカ政府ならびに国際自然保護連合「IUCN」が中心となり、野生動植物の国際取引に関する規制条約を作成し、1973年3月3日にワシントンD.C.にて採択され、1975年7月1日に発効されました。

これを「CITES(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)」と言い、通称「ワシントン条約」と呼ばれています。

スイスに本部を置く非政府組織ではありますが、世界各国の政府機関および民間団体が多数加入しており、日本も1995年6月に国家会員として、1978年には環境庁(現・環境省)が政府機関として加盟しております。

そんなワシントン条約締結国会議ですが、2016年の今年は9月から10月にかけて南アフリカにて開催が予定されており、知能が高く、温厚で人懐っこいコンパニオンバードとして世界各国で人気を集めている大型インコ「ヨウム」が附属書Ⅰ類 (サイテスⅠ)への指定が確実だと噂されています。

なぜ、ヨウムがワシントン条約のサイテスⅠへ指定されることになるのか気になりますよね。

そこで、今回はヨウムを取り巻く環境についてご説明したいと思います。

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ヨウムがサイテスⅠに指定される理由とは

1990年代、西アフリカにあるガーナの深い森の中には1000羽を超えるヨウムの群れがあちらこちらに住んでいました。しかし、イギリスの鳥類学専門誌「Ibis」にて行われた最新の研究によって、現在では野生のヨウムの姿は、ほぼ確認できない状況となっていることが明らかにされたのです。

Ibisは、ヨウム激減について、ペットとしてヨウムの需要が高まったことで乱獲されたことや彼らが住む森林が消失したことが原因ではないかと話しています。

ヨウムは、西アフリカや中央アフリカの広範囲で生息する大型インコであり、その生息域はおよそ300万平方キロメートルだと言われています。

そして、その広範囲な生息地のおよそ7万5000平方キロメートルがガーナであり、この地に生息するヨウムの個体数の減少が最も著しいとされています。

今から20年前にはガーナの地に1200羽のヨウムが群れを成していたのに、2016年現在では1羽見つけるだけで数週間かかるそうです。

ナショナルジオグラフィックのエマージング・エクスプローラーでもあり、ヨウムの専門家でもあるスティーブ・ボイズ氏は「ヨウムがガーナから消えかけているのは意外では無い」と話しており、「ウガンダ・ルワンダ・タンザニアなどヨウムの生息地として知られる国々では局所的に絶滅が起きている」と続けています。

そして、このような現象を“アフリカン・サイレンス (アフリカの沈黙)”と呼んでいます。

現在ヨウムの取引は、アメリカやEUなどで輸入が禁止されているのですが、飼育下で繁殖された個体の取引自体に規制は無く、しかもこれが原因で野生のヨウムが減少しているのではないかとも言われています。

その理由は、飼育下での繁殖に用いられる親鳥の多くが野生種であり、自分で育てるよりも安上がりであり、繁殖に時間がかからないからです。

2016年9月に南アフリカで開催されるワシントン条約締結国会議では、ヨウムの生息する全ての国々に対し、全面的な取引の禁止を提案する予定となっています。

ヨウムが指定されるであろう附属書Ⅰ(サイテスⅠ)は、輸出国および輸入国の科学当局から該当取引が種の存続を脅かすことがないと助言を得るなどの特殊な条件を満たしており、輸出国の輸出許可および輸入国の輸入許可の発給を受けている場合のみ取引が可能となっています。

そのため、安易な商業取引は原則禁止となるため、現在ヨウムを飼養されている方は、安易に捨てたり譲ったりすることができなくなるため、ご注意ください。

人間の身勝手で住処を奪われ、ペットとして乱獲されてしまったヨウムを保護するためには、人間自ら厳しいルールを作成し、彼らを守ってゆかなければなりません。

これからヨウムをお迎えしようとお考えの方、ワシントン条約に指定されてしまうと、2度と手放すことは出来なくなります。

お迎えする前に、今一度ヨウムを迎える覚悟があるのかどうか考えてから覚悟の上で飼養しましょう。

(2016.11)

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