1976年から2007年の31年間、比較心理学者のアイリーン・ペッパーバーグ博士が飼養していたヨウムのAlex (アレックス)は、50の物体と7つの色彩、5つの形を認識しており、数も6まで数えることができたと言われているたいへん有名な鳥です。
ペッパーバーグ博士は、アレックスは2歳児から5歳児並みの知能を持っており、今までオウムは人間の言葉を無意識に真似しているだけという固定概念を覆した素晴らしい鳥だと賞しています
アレックスは、亡くなる前に博士に向かって「You be good,see you tomorrow.I love you. (いい子でいてね、じゃあ、また明日。君を愛しているよ)」という言葉を遺してこの世を去りました。
また、2004年1月にはN’kisi (ニキシ)という名のヨウムが、およそ950の語彙を持ち、動詞の時制を正しく使うことができるという研究発表がされ、なんと写真を見せるとその物体の名を正しく答えることができることを実証したのです。
ヨウムの知能の高さはこうした研究からもお分かり頂けたかと思います。
ヨウムに関する実験は現在も行われており、アレックス亡き後、ペッパーバーグ博士たちはヨウムにインターネットの使い方を教え、ヨウムの可能性を模索しているところだそうです。
さて、そんな知能の高いヨウムですが、知能が高い故に困った一面もございます。
その困った一面とは、いったいどのようなことなのでしょうか。
知能の高いヨウムの問題点
ヨウムを飼養されている方ならば、既にお分かりかと思いますが、ヨウムはヒトの言葉を覚えて正しく会話をしたり、難しいパズルを解いて遊んだり、飼い主がケージの開閉をしているのを観察して、自分で脱出する方法を見つけたりすることができる非常に賢い鳥です。
特にTPOに合わせた会話をすることができるという点は、あっぱれとしか言えません。
しかし、知能が高い故に問題点も多々あります。
頭が良いということは、退屈したり何もすることが無いと欲求不満に陥り、ストレスが原因で引き起こる心身の病を患う恐れがあるのです。
また、ペッパーバーグ博士の研究によって、ヨウムが飼い主である人間を意のままに操る可能性も示唆されています。例えば、ヨウムが飼い主であるあなたを遊んでほしい場合、自分に関心を向けるためにイタズラをしたりすることができると言うことです。
しかし、ヨウムは他のコンパニオンバードとは異なり、自分の望みを飼い主にはっきりと伝えることができるため、そういった点ではたいへん重宝されています。
知能の高いヨウムですが、とてもデリケートで臆病な性格をしており、人見知りしやすい鳥ですので、言葉を覚えたり、会話を楽しむためには、飼い主であるあなたの愛情の注ぎ方で大きく異なります。
また、なかには言葉をしゃべるのが苦手な個体もおりますので、彼らにストレスを与えない程度に根気よく教え続けるのがポイントです。
知能が高い故に繊細なハートを持つヨウムは、24時間飼い主と共に居たいと願っています。
ヨウムをお迎えする方は、彼ら中心の生活が送れるか否かを事前に確認し、知識や環境を整えてからペットショップやブリーダーのもとへ向かうようにしましょう。