今まで鳥類の身体の特徴として羽毛や骨格と筋肉、そして嘴に後肢など4つをご紹介させて頂きましたが、今回は最後となる鳥類の五感についてご説明したいと思います。
以前、鳥類は哺乳類よりも視覚が発達している代わりに嗅覚が未熟だとご説明させて頂きました。今回は、より深く鳥類の視覚や嗅覚、そして味覚などを解説したいと思います。
鳥類が五感で感じとっているもの
視覚
鳥類は哺乳類よりも優れた視覚を有しています。
そのため、光学系において光軸に平行な入射光線が像を結ぶ焦点の調節が異常に早く、視力も良いので遠くのものも近いものもはっきり見ることが出来ます。
鳥類はヒトよりも視細胞が多いため、目の発達が著しい猛禽類のワシタカ類に至ってはなんとヒトの8倍前後の視力を持つと言われています。また、ヒトの3倍近くの解像度を誇るタカ類は鳥類の中で最も発達していると言われています。
しかし、ハト類などの穀物を食べて生活している鳥類の解像度はヒトよりも劣るのではないかと言われています。
首を固定した状態の視野の広さは鳥類の種によって異なりますが、最も視野が広いと言われるヤマシギでなんと359度と言われています。反対に視野が狭い鳥類として有名なモリフクロウはヒトと同等の201度ですが、首を270度回転させることが出来るため、この首の回転によって視野の狭さを補っているのではないかと考えられています。
一般的に鳥類は夜行性ではないのですが、夜間でも物を見ることは可能となっており、地球上に存在する鳥類の多くが夜間に生息地を変更するための渡りを行います。
また、フクロウは夜間の間、視力がヒトの100倍前後まで上昇すると言いますが、昼間でも物を見ることは可能となっています。
色覚
鳥類は、視覚と共に色覚も発達しています。しかし、色覚は爬虫類も同様に発達しているため、鳥類が進化の過程で手に入れた能力とは言い難く、鳥類最古の祖先として知られる始祖鳥が有していた能力を衰退させることなく保ち続けたのではないかと言われています。
鳥類の凄いところは、ヒトと同様の可視領域の色彩を見分けることが出来るだけではなく、太陽から降り注ぐ紫外線領域を感知する能力を有しているところです。そのため、ヒトとは異なる色彩まで見ることができ、なんと青空に浮かぶ7色の虹の1番内側に存在するパープルの内側にある色まで見ることが出来るのです。
何故、鳥類が紫外線領域を感知する能力を有しているのかは現在研究段階ですので、はっきりと改名されていませんが、今後鳥類の優れた色覚のついての大きな成果が発表されることを期待しましょう。
聴覚
哺乳類には耳殻と呼ばれる音響を反射させ、耳孔に入りやすくさせる部位が存在しません。しかし、互いの囀りなど音声によるコミュニケーションを行うことが近年の研究で明らかとなりました。しかし、彼らの聞こえる音の領域は哺乳類よりも狭く、20Hzから20KHzの音を聞くことが出来るヒトに対し、一般的な鳥類は100Hzから10KHzとなっています。鳥類の中で最も高音の音を聞き分けることが出来ると言われるメンフクロウでも最大で12KHzが限界だそうです。そのため、鳥類はヒトに聞こえない音を出すことが出来ない動物として認識されています。
ですが、鳥類の聴覚はヒトを上回る優れた能力があります。それは、速い音の変化を聞き分けることが出来る能力です。特にフクロウ類は餌となる動物が動き出す微かな音を左右の耳に届く僅かな誤差から的確に獲物の位置を割り出す能力に長けています。
また、鳥類は遠くの方で僅かに聞こえる音を聞くことが出来ると言われていますが、どの程度聞こえるのかは現在研究中だそうです。
味覚と嗅覚
嗅覚が発達していると言われるニュージーランドに生息する翼の退化した可愛らしいキーウィは夜行性のため視力も悪く、地面から放出される僅かな臭いを頼りに地中から獲物を掘り当てることが出来ることが分かったのですが、キーウィ以外の鳥類にはあまり嗅覚の発達が見られないため、現在は嗅覚の発達は未熟なのではないかと考えられています。
また、同様に味覚を司る味蕾の大部分が欠如していることから鳥類は視覚と聴覚を発達させた代わりに味覚と嗅覚を失ったのではないかと推測されています。
今回は鳥類の身体の特徴の五感についてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。ヒトを含む哺乳類とは異なり、視覚や聴覚が著しく発達した鳥類ですが、一部を除き味覚や嗅覚の発達が未熟だということが明らかになりました。鳥たちの意外な一面を垣間見れた気がしますね。
しかし、いくら味覚や嗅覚が未熟だからといって汚い環境で飼育したり、適当な餌を食べさせたりしてはいけません。鳥たちに合わせた食事や環境作りはヒトと鳥が心を通わせるために必要なことですので、今後コンパニオンバードを購入する予定の方は、鳥類の身体の特徴に関する知識を付けてから購入するようにしましょう。