ヒナの成長期の栄養不足とそれによる弊害|インコの飼い方

これからインコやオウムをお迎えする方やお迎えをご検討されている方のなかに「ヒナ」をお迎えする予定だという方も多いのではないでしょうか。

コンパニオンバードは、幼いヒナのうちから飼養を始めると人懐っこく、コミュニケーションが得意な手乗りに育つ可能性が高くなると言われており、初心者の飼い主さんたちからも人気があります。

しかし、初めてコンパニオンバードをお迎えする方にとって、インコやオウムのヒナを育てることはとても大変なことであり、豊富な知識と経験、高度な技術が無ければ、健やかに育てることができません。

そのため、海外ではひとり餌になっていないヒナの販売は自粛傾向にあり、少しでも多くのヒナを救う対策が取られています。

ですが、日本ではヒナの販売を自粛する動きがないため、ペットショップやブリーダーによってはコンパニオンバード初心者の方にヒナを販売することも多々あります。

そこで、今回は成長期のヒナの栄養不足とそれによる弊害についてご説明します。

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成長期の栄養不足について

野生のインコやオウムたちは、卵から孵ったばかりのヒナが旅立つまでの数か月間、小さな昆虫などを必死に捕まえて子どもたちの口へと運び、食べさせています。

成長期のヒナは、健康なからだをつくるために大量の動物性タンパク質が必要となります。

その理由は、野生下ではひ弱な個体は生き延びることができないということを彼らは本能で知っており、親鳥たちは疲弊しながらも子どもたちのために必死で普段とは異なる食べ物を探すのです。

インコやオウムなどの鳥類にとって、成長期のエサというのは成鳥になったときのエサと比べ、比較にならないほど重要なものであり、何をどのくらい食べたのかによって、成鳥になったときの身体のサイズや丈夫さ、最大寿命などが決まってしまいます。

元々肉食の鳥類や動物の場合、草花や種子を食べることができませんが、種子や雑食の鳥類の場合、たんぱく源となる生きた昆虫や小動物を食べることができ、これらの栄養分もしっかり吸収することが可能となっています。

インコやオウムは、種子類を主食とする鳥類ですので、たんぱく質を含む様々な栄養成分を分解・吸収することができる酵素を体内に持っています。

そのため、これからヒナをお迎えする予定の飼い主さんは、彼らが栄養不足にならないよう、たんぱく源をしっかり与えるように心掛けましょう。

栄養不足による弊害

日本ではインコやオウムのヒナをお迎えする際、空煎りした粟 (あわ)に卵黄をまぶして乾燥させたものをベースに、ヒナに与える直前にすりおろした青菜やボレー粉を添え加えて作る「粟玉 (あわだま)」と呼ばれる食べ物で育てるのが一般的でした。

しかし、近年粟玉にはヒナに必要な栄養成分が十分に含まれていないことが明らかとなり、現在はヒナ専用のパウダーフード、もしくは、粟玉にパウダーフードを加えたヒナ食を与えるのが定番になりつつあります。

ですが、いくらヒナが栄養不足にならないように気を遣ったとしても、親鳥の産んだ卵に十分な栄養素が詰まっていなかったり、生まれて間もない時期に栄養不足に陥ってしまうと、身体の小さな個体になってしまう恐れがあります。

特に初めてヒナを飼養する飼い主さんの場合、最も成長速度の速い時期に親元からヒナを引き離してしまったり、飼い主さんの経験や知識不足が原因で世話が不十分だった場合、途中で死んでしまったり、身体の小さな成鳥に育ってしまいます。

これからヒナをお迎えするという初心者飼い主さんは、最低限ヒナに関する知識を身に付けておくようにしましょう。

身体の小さいインコやオウムに育ってしまう主な原因は、骨格が十分に成長せず、本来のサイズに至らなかったことにあります。

鳥類は人間とは違い、一枚構造の胸骨の内部に心臓などの重要な器官があり、しっかりと守れるようになっています。

しかし、骨格の成長が不十分な個体の場合、健康な個体と同じく心臓などの内臓系は通常サイズにまで成長するため、脊椎と細い肋骨で繋がれた胸骨内が強く締め付けられる状態となり、心臓や循環器系が常に圧迫されている状態となります。

そのため、身体の小さなインコやオウムは健康な個体とは体内の時間軸が大きく異なり、老化速度が速く、短命となります。

卵の栄養不足に由来する身体の小ささは熟練の飼い主さんであっても防ぐことができませんが、健康に生まれたヒナの場合、出来る限り親鳥に育雛をさせるようにし、育児放棄などが見られる場合は人間が育雛をサポートするかたちをとり、ヒナの骨格が十分に発達したのを確認してから親鳥から離すようにしましょう。

なお、挿し餌をする場合は、食欲不振や栄養不足に陥る可能性のある「食滞 (しょくたい)」などを引き起こさないように気を配り、過不足ない分量の食事を与えるようにしましょう。

今回は成長期の栄養不足とそれによる弊害についてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

人懐っこくて、コミュニケーション能力に長けたインコやオウムに育てたいという強い思いからヒナをお迎えする飼い主さんも多いと思いますが、ヒナの飼養はとても難しく、豊富な経験と知識、高度な技術が必要となります。

これ以上、不幸なインコやオウムを増やさないために、ヒナをお迎えする予定の飼い主さんたちは、ヒナたちのために日常生活を犠牲にする覚悟があるかどうかを今一度考え直してからお迎えするようにしましょう。

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