ここ数年、知能が高く愛情表現が豊かな美しいインコやオウムたちは、犬や猫に劣らぬ人気の愛玩動物として、世界各国で愛されている動物です。
特に人懐っこくてコミュニケーション能力の高いセキセイインコやオカメインコ、ヨウムなどは「コンパニオンバード」と呼ばれており、彼らと絆を深めることができれば、常にあなたのことを慕い寄り添ってくれる最高のパートナーとなってくれることでしょう。
ですが、インコやオウムは種類によって、50年以上生きるものもおりますので、彼らをお迎えする際はあなたの年齢などを考慮してお迎えするようにしましょう。
また、よく「インコやオウムの主食=シード類」と認識していらっしゃる方も多いですが、これは誤りです。
現在、日本国内で飼養されているインコやオウムの多くが、「オウム目」もしくは「スズメ目」に属しているのですが、この種の違いが食事などに大きな違いを生んでいるのです。
動物の分類学では、目・科・属・種 (亜種)の順にカテゴライズされています。
例えば、最も人気の高いコンパニオンバードのセキセイインコの場合、オウム目インコ科セキセイインコ属セキセイインコとなります。
一方、オーストラリア連邦法規によって保護されているとても賢くて懐っこいキバタンは、オウム目オウム科オウム属キバタンとなります。
セキセイインコもキバタンも生息地域は共にオーストラリアなのですが、科が異なるため全く違う鳥と判断されます。
「そんなに違いはなさそうだけど?」と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、食肉目で例えるならば、イヌ科とネコ科並みに違うのです。
鳥類は、種類によって全く異なる食性を有しており、これらを踏まえたうえで、何を与えたら良いのかなどを考える必要があります。
そこで、今回はインコやオウムの食性についてご説明します。
インコやオウムの食性について
インコやオウムの食性は、大きく穀食性・果食性・蜜食性・雑食性の4種類に分けられます。
では、インコやオウムを食性別に分類してみましたのでご紹介します。
食性 | 種名 |
---|---|
穀食性 |
|
果食性 |
|
蜜食性 |
|
雑食性 |
|
現在日本国内で一般的に飼養されている多くのコンパニオンバードたちが「穀食性」であることがお分かりいただけたでしょうか。
では、続きまして4つの食性の特徴をご説明します。
穀食性
穀食性とは、稗・粟・黍・カナリーシード (カナリアシード)・お米といった植物の種子を主食とする鳥のことであり、主に小型~中型インコやオウムに多くみられる食性です。
炭水化物を豊富に含むものが多いため、食べ過ぎてしまうと肥満の原因となります。
また、この食性に属するコンパニオンバードをお迎えする際は、栄養バランスを考えた食事を与えるように心掛けましょう
果食性
果食性とは、果物や種実類を主食とする鳥のことであり、この食性に属しているインコやオウムたちは蜜食性に属する鳥に近い消化能力を持っています。
果食性のインコやオウムたちは、柔らかな果物の果肉を食べて生活しているのですが、彼らが食べている果物とは、私たちが普段食べている甘くてジューシーな「フルーツ」ではなく、甘くない果物になります。
スーパーやデパートなどで販売されているフルーツは、人間が食べやすいように品種改良を重ねて糖度を上げているため、甘みを強く感じるのですが、野生で生活している果食性のインコやオウムたちは人の手が加えられていない果物を食べていますので、人間と同じものを食べていると思ってはいけません。
また、炭水化物中心の食生活を送っている穀食性に属している身体の大きなインコやオウムたちは、炭水化物だけでは大きな身体を維持することができないため、より高カロリーな果実の種子を主食とする種もいます。
それが、ヨウムやコンゴウインコなどの大型インコたちです。
蜜食性
蜜食性とは、花の蜜や花粉などを主食とする鳥のことであり、主にロリキート (ローリー)と呼ばれるヒインコ科やハチドリ類などがこの食性に属しています。
野生下では花の蜜を中心とした食事を摂っており、加えて甘い果実なども食べている種もいます。
花蜜には砂糖の原材料となる「ショ糖」が豊富を主成分としており、さらにたんぱく質やミネラル類もバランス良く含まれていますので、鳥たちにとっては理想的な食事だと言えるでしょう。
また、高カロリーな花蜜は摂取後すぐにエネルギーへと変換することができますので、ハチドリのような身体が小さくて毎日莫大なエネルギーを必要とする鳥たちにとってはとても大切な食べ物となっています。
雑食性
雑食性とは、植物の種子だけではなく昆虫なども捕食する鳥のことであり、ナナクサインコやキバタンなどがこの食性に属しています。
また、オーストラリアに生息する野生のオカメインコなどの一部は、穀食性でありながら、不足しているたんぱく質を補うため、死んだ動物の肉を摂取している可能性があると言われています。
そのため、全てのインコやオウムたちは3つの食性に属していながらも、不足している栄養成分を補うために普段はあまり食べないものも稀に食べるのではないかと考えられており、ほぼ全てのインコやオウムが雑食性である可能性が示唆されています。
今回はインコやオウムの食性についてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
これら4つの食性はあくまでインコやオウムたちが野生においてどのような食事を摂っているのかを分かりやすくしたものです。
よく野生の生活を再現すると長生きすると言われていますが、実際はそうでもありません。
その理由は、飼育と野生では環境も運動量、発情の程度などが全く異なり、必要となるエネルギー量や栄養素が変わってくるからです。
ただ、4つの食性を知っておくことで、彼らに与えてもよい食べ物と与えてはいけない食べ物の区別が付きやすくなりますので、これからインコやオウムをお迎えするという方は、鳥類の食性をしっかり学んでおきましょう。