お迎えしたばかりのときはケージの隅からこちらをじーっと眺めているだけだったのに、熱心なコミュニケーションや懸命なお世話によって打ち解けることができ、いまでは顔を合わせると近寄ってきて、おしゃべりしたり遊んだりするほど親密な仲になっているという飼い主さんも多いのではないでしょうか。
しかし、仲良くなってくると可愛さのあまり、ついつい甘やかしてしまうという飼い主さんもたくさんいます。
ですが、インコやオウムは1日の餌と水の量が決まっており、それ以上与えてしまうと肥満などの生活習慣病を招き、最悪の場合、死亡してしまうこともあります。
そこで、今回は餌と水の与え方、1回に餌箱に入れておく量、また餌の時間や回数についてご説明します。
インコやオウムの餌と水の与え方
インコとオウムが1日に必要な餌と水の量は、餌ならば体重の10%ほど、水は体重の5%から10%ほどとなっています。
なので、体重35gのセキセイインコの場合、1日に必要な餌と水の量は、餌も水も3.5gということになります。
ただ、この摂取量はあくまで1日に最低でも摂らなければならない必要量ですので、餌をまき散らしたり、水飲み場でバシャバシャと遊んでしまうやんちゃな性格の子や骨格・代謝などの関係によって必要な食事量が異なりますので、暴飲暴食予防として毎日必要最低限の餌や水しか与えないというのは、インコやオウムの健康を損なう危険性がありますので止めましょう。
成鳥まで成長したインコやオウムは、年齢を重ねるごとに1日に必要な餌や水の量が大きく減少することはありません。鳥類は寿命が近付いてくると外見に老化の兆しが表れる動物であり、食欲や食事行動に老化の兆しが表れるのはかなり年齢が進んでからだと言われています。
なので、平均寿命よりも長く生きている13歳のセキセイインコや18歳のオカメインコであっても見た目にハッキリ食事量に大きな変化は表れません。
しかし、実際は年齢を重ねるごとに鳥類たちも少しずつではありますが食事量が減少しておりますので、飼い主さんは、毎日どのくらい食事を摂っているのか、体重に変化は表れていないかなどをこまめにチェックするように心掛けましょう。
もし、ある日突然体重が減少していたり、増加している場合は何かしらの原因がある可能性があります。
基本的にインコやオウムは年を取るごとに代謝も食事量も少しずつ減少してゆくため、劇的な体重変化は表れないので、突然の体重増減というのはあり得ないことなのです。
標準体重が50g~100gのインコやオウムの場合、1g~3gの体重変動は正常範囲内ですので問題ありませんが、2g以上体重が増減している場合や短期間で体重に大きな変化が表れた場合は要注意です。
こういった体重変動が起こった場合は、1度かかりつけの鳥類専門の動物病院で診てもらうようにし、食生活を見直しましょう。
食事の時間と回数について
インコやオウムの健康管理を行う場合、1日に必要な餌や水の量も大切ですが、食事の時間と回数にも目を配るようにしましょう。
最近インコやオウムが太ってきたなと感じている飼い主さんは、日々の食生活について見直すところから始めましょう。
生活の見直しチェックリスト
- インコやオウムの目の前にいつも餌がある。
- 脂肪分を豊富に含む餌を与えている。
- 脂肪分を豊富に含む餌やおやつしか与えていない。
- 起きている時間が長い。
- 飼い主・家族・恋人など人間が食事をしているシーンを常に見える環境にケージが置いてある。
- ストレスなどが原因で過食気味である。
- 食べること以外に楽しみが見出せていない可能性がある。
- 隣のケージ、もしくは、同じケージ内によく食べるインコやオウムがいる。
- 加齢によって代謝が落ちているにも関わらず、若いころと同じ食事量を摂っている。
- 食べることが楽しみになっている。
- 「食べなさい」という誤った信号が脳から出ている。
- 食べ過ぎたらどうなるかを考えていない。
食べ過ぎによる肥満の場合、インコ自身にも問題があることもありますが、大半の原因は飼い主である人間によることが多いと言われています。
インコやオウムは人間とは異なり、食べ過ぎたらどうなるか、太ったらどうなるかなどを考えて食事を摂ったりしません。そのため、人間である飼い主さんが彼らの代わりに食べ過ぎてしまう原因や状況を改善してゆくのが重要となります。
例えば、インコやオウムを飼養しているご家庭の多くが餌箱や水入れをケージ内に入れっぱなしにしていることが多いのですが、自己管理型のインコやオウムならば必要以上の食べ物や飲み物を摂取しないように自制することができるのですが、食事自由型のインコやオウムの場合、自分が好きな時間に好きなだけ食べる傾向があるため、このような食事方法は大変危険です。
また、獣医師さんから「食の細くなってしまった鳥は、眠くなったら明るい状態でも眠ることができますから、夜も室内を明るくしておき、いつでも餌を食べられるようにしておいてください」という指導を受けたことがあるという飼い主さんもいらっしゃると思います。
病気で食が細くなったインコやオウムの場合は、この方法で体調を回復させることができるのですが、健康なインコやオウムの場合、夜でも室内を明るくしてしまうと、起きている時間が長くなり、いつもよりも餌や水を摂取する機会が増えてしまいます。
たとえ自己管理型のインコやオウムであっても、起きている時間が長くなると、いつもより多めに食事を摂ってしまうことがありますので、夜は必ず室内を暗くして彼らを休ませてあげましょう。
他にも、飼い主さんが構ってくれないことへの寂しさからストレスになって過食に走ったり、遊ぶ時間が短すぎて満足できなかった場合は食事に対して楽しさを見出そうとしてしまい、食べることが止められなくなってしまったという子もいますので、忙しいからといって彼らの相手をしないのは御法度です。
今回は餌と水の与え方、1回に餌箱に入れておく量、また餌の時間や回数についてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
インコやオウムは未来を予想することができないため、人間である飼い主さんがしっかり食事管理を行う必要があります。
これからコンパニオンバードをお迎えする予定だという方は、彼らの「親」としてしっかり体調・食事管理を行い、健やかな生活が送れるようサポートしてゆくように心掛けましょう。