野生のインコやオウムたちは様々な場所で常に硬いものに触れているため、自然に爪がほどよい長さまで摩耗してゆくのですが、人間の世界で暮らしている彼らは爪を擦り減らす機会がほとんどないため、野生ではありえない長さまで爪が伸びてしまうことが多々あります。
インコやオウムの場合、爪を伸ばしっぱなしにしてしまうと、爪の中を通っている血管が爪の先まで延びてしまい、放鳥中にカーテンやカーペットに引っかかったり、ケージ内を上り下りしているときに爪が折れて大出血を起こしてしまう恐れがあります。
しかし、インコやオウムの爪切りは、犬や猫などと同じく、長年飼養している飼い主さんでも簡単にできるものではありません。
そのため、彼らの爪切りを動物病院で行ってもらうという方も少なくありません。
そこで、今回はインコやオウムの爪切り方法と病院で切ってもらうことのメリットをご紹介します。
インコやオウムの爪切り方法
人間と共に暮らしているインコやオウムの場合、飼い主であるあなた自身が彼らの爪を責任もってトリミングする必要があります。
日本ではあまりメジャーではありませんが、海外では紙やすりが付いた止まり木などが販売されており、インコやオウムの爪が自然に摩耗する便利グッズが販売されています。
ですが、この紙やすりが付いた止まり木に対し、鳥専門の獣医師たちは足の肉部分がやすりによって傷付き、細菌感染の恐れがあると注意喚起しています。
インコやオウムの爪をトリミングする方法は、爪切りでカットする方法とやすりで削る方法の2種類にありますが、一般的に行われているのは「爪切りでカットする方法」です。
鳥の爪は、人間の爪とは異なる丸爪ですので、人間用の爪切りで切ってしまうと、カットした爪の断面両側にささくれが出来てしまい、怪我の原因となります。
そのため、インコやオウムの爪を切るときは、動物用丸爪切りを用いて爪切りを行うのが良いとされています。
ただ、鳥類専用の爪切りというものは存在しませんので、犬猫用の爪切りを購入しましょう。
動物用丸爪切りには、刃が丸くえぐれているハサミタイプと穴に爪を通してカットするギロチンタイプの2種類ありますので、あなたが使いやすい方を購入するのが良いでしょう。
もし、どちらを購入したら良いのか悩んでいるのでしたら、手のひらにすっぽり収まるハサミタイプの小さな爪切りがオススメです。
では、さっそくインコやオウムの爪切り方法をご紹介します。
爪きりに必要な道具と手順
必要な道具
- 保定用タオル (バスタオル可)
- 動物用爪切り
- やすり
- 止血剤 (クイックストップ・線香・グルーガンなど)
切り方
- 保定用タオルを用いてインコやオウムをしっかり保定します。
- 手でインコやオウムの指を持ち、爪をパチンパチン切ってゆきます。
爪を切っていて出血してしまった場合、クイックストップや線香などを用いて止血します。
クイックストップとは、止血用薬剤のことで、人間用にも同様の薬剤がありますので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
インコやオウムの爪切りをしているときに出血してしまった場合は、動物用のクイックストップを使用しましょう。
使い方は、親指と人差し指でクイックストップをひとつまみし、出血している部分へ押し当てます。
押し当てる際、皮膚に付かないように注意し、患部を粉末薬剤で蓋をするようにしばらく押し付けるのがポイントです。こうすることで素早く止血することができます。
ただ、時間が経つと再度出血していることがありますので、5分間は様子を見るようにしましょう。
また、クイックストップを大量に使用すると目や口に入る恐れがありますので、ひとつまみ以上は使用しないでください。
線香を用いた止血方法ですが、線香に火を点け、血管と傷口を焼いて消毒と止血を同時に行う方法です。
手荒な方法に見えますが、クイックストップよりも止血効果が高いため、こちらの方法を用いる方も多いそうです。
線香での止血方法は、火が点いた線香をほんの一瞬チャチャっと患部に当てるだけです。
犬や猫と違いインコやオウムには爪付近に毛が無いため、燃える心配がなく、きちんと止血できれば、再度処置を行う必要が無いのが魅力となっています。
爪切りを病院で行ってもらうメリット
飼い主なんだから責任もって爪切りも自分でやらなければならないと思っている新米飼い主さんも多いと思いますが、長年インコやオウムを飼養しているベテラン飼い主さんも爪切りなどは動物病院でやってもらっているという方も大勢いらっしゃいます。
その理由は、セキセイインコなどの小さな小鳥の爪はとても薄いので自分で切るのが怖い、ヨウムなどの大型インコの場合は鳥の身体を安全に保定することができないなどが挙げられますが、最も多い理由が、飼い鳥たちが飼い主恐怖症や人間恐怖症になってしまうのを防ぐためです。
インコやオウムにとって、爪切りとは非常に苦痛を伴う行為ですので、例え成功したとしても、飼い主が大嫌いになったり、人間を怖がるようになってしまうことがあります。
そのため、爪切りには自信があるけど、彼らとの信頼関係を失いたくないという飼い主さんも多く、病院で切ってもらう方も少なくありません。
ただ、全てを専門家の方に丸投げしてしまうのは飼い主として問題がありますので、インコやオウムの爪切りに関する知識を身に付けたうえで専門家の方々に頼るようにしましょう。
どうしても近くに鳥専門の動物病院が無いという場合は、自分でやるしかありませんので、インコやオウムの専門書や情報サイトでしっかり知識を身に付け、彼らの理想的な長さの爪になるよう、飼い主さんがキレイに切ってあげましょう。
今回はインコ・オウムの爪切り方法、また病院で切ってもらうことのメリットについてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
どうしても自分で爪を切らなければならない場合、爪の付け根からの延長線上から直角に出た線が理想的な長さとなりますので、足の裏が床面に着いたとき、少し爪が床から浮くか浮かないかという長さになるよう、30度くらいを目安にカットしましょう。
ですが、個体によって爪の理想的な長さが異なりますので、やはりここは鳥専門の動物病院で爪を切ってもらうのが1番かと思います。