テレビや動画などでよく見かけるインコやオウムの水浴びシーンは、とっても可愛らしくて癒されますよね。
しかし、インコやオウムは基本的に水を好む動物ではないため、野生下ではこのような光景を目にする機会はほとんどありません。
ですが、種類やそれぞれの性格などによって水浴びが大好きな子たちもたくさんおり、野生のインコやオウムたちのなかにも、水を飲むついでに羽をパタパタと広げ、気持ちよさそうに行水する子たちも少なからずいるそうです。
彼らが水浴びを行う理由は、身体が汚れて虫が付くのを防いだり、細菌類を洗い流す効果があるそうです。
よく野生のインコやオウムたちも雨が降るとピーピーと声を上げながら、元気よく飛び回っている姿を目にしますが、これは雨で身体に付着した細菌類を洗い流しているのだそうです。
また、鼻に水が入ってしまい、ズピズピと音を鳴らすことがありますが、目や鼻の通りを良くし、感染症に罹りにくくする効果があるそうです。
ただ、乾燥地帯に住むセキセイインコなどのコンパニオンバードの場合、水浴びではなく、砂浴びや煙浴びを好む傾向があるため、既にお迎えしている飼い主さんやこれからお迎えする予定の飼い主さんは、インコやオウムの生息地がどのような環境なのかを事前に確認しておき、それぞれに合った方法で水浴びや砂浴び、煙浴びのいずれかを選択するようにしましょう。
さて、インコやオウムたちにとって水浴びがいかに大切なものなのかをご理解頂いたところで、正しい水浴びの方法や温度、水浴びを行う時間と頻度、どのようなタイミングで行えば良いのかをご説明します。
正しい水浴び方法と水の温度について
先ほどもご説明したとおり、インコやオウムは水を好む動物ではありませんので、いきなり水を掛けるのはご法度です。
まずは、お迎えしたインコやオウムが水を好むか嫌うかを確認してから水浴びをさせるようにしましょう。
彼らは水浴びがしたくなると、自分から「水浴びをしたい!」というアピールをしてきます。
特に掃除機の音や雨の音を聴くと野生の本能が刺激され、水浴びしたくなると言われています。
水浴びしたい気分ではないときや水浴びが嫌いな子は、水がかかると露骨に嫌がりますので、水浴び専用の容器を用意し、彼らが水浴びをしたくなったときにさせてあげるようにしましょう。
さて、インコやオウムの正しい水浴び方法ですが、その子の性格などによって好みの水浴び方法が異なりますので、基本的には彼らが好む水浴び方法で行ってあげるのがオススメです。
彼らが好む主な水浴び方法は、
- 直接蛇口から水を浴びる
- シャワーの水を浴びる
- 鳥専用の水入れに飛び込む
- 霧吹きの水を浴びる
などが挙げられます。
また、水浴びに使用する水の温度ですが、鳥類は羽繕いの際に尾脂腺から分泌される脂を羽に付けており、この脂によって、たとえ水が羽に掛かったとしても、水をはじいて体温が失われるのを防ぐことができるようになっています。
しかし、気温が低くなる冬場に冷たい水で水浴びさせるのは可哀想だからといって、お湯やぬるま湯で水浴びをさせてしまうと、羽に含まれる脂が全て落ちてしまい、水をはじくことができなくなってしまいます。
脂が無くなってしまった羽には、体温低下を防ぐ働きが無くなってしまうため、病気にかかりやすくなり、最悪の場合、死に至ることもあります。
たとえ寒さの厳しい冬場であっても、水浴び用の水は必ず10℃前後を保つように心掛けましょう。
水浴びする必要性
インコやオウムに水浴びをさせる必要性についてですが、羽に付着した汚れやホコリ、積もった脂粉の除去や細菌類や寄生虫などを洗い落す以外にも理由があります。
インコやオウムは水浴びをする際、羽を大きく広げてパタパタと忙しく動かしたり、羽を激しく震わせたりします。鳥たちの水浴びはとってもダイナミックなため、初めて見る方は驚かれたかと思いますが、身体を動かすことで体力を使うため、運動不足が解消され、ストレス発散や気分転換を行うことができます。
また、水浴びには体温を調節する効果がありますので、暑さに弱いインコやオウムたちは夏になると頻繁に水浴びをするようになります。
ただ、セキセイインコなど乾燥地帯出身の子たちは、他のコンパニオンバードとは異なり、積極的に水浴びをすることはありませんが、文鳥などの熱帯地方出身の子たちは水浴びを好む傾向がありますので、水浴びをしようがしまいが関係なく、こまめに水を取り替えて、水温を一定に保つように心掛けましょう。
水浴びの時間と頻度、タイミングについて
水浴びの時間と頻度についてですが、長時間水浴びさせてしまうとインコやオウムたちも身体が冷え過ぎてしまい、病気の原因となりますので、水浴び時間は長くても10分までとし、水浴び頻度は季節によって1週間に1度から1ヶ月に1度のペースで行うよう、飼い主さん自身で調節してください。
水浴びするタイミングですが、ヨウムやオカメインコなどの脂粉が出るコンパニオンバードの場合、脂粉が蓄積するのを防ぐため、こまめに水浴びをする傾向がありますが、乾燥地帯出身のセキセイインコなどは水浴びをしなくても常に羽を清潔に保つため、羽繕いを行い、羽のコンディションを整えていることが多いので、無理に水浴びをさせなくても問題ありません。
どうしても水浴びをさせたいというときは、彼らが「水浴びしたい」アピールをしてきたときにさせてあげましょう。
水浴びを行う際の注意点ですが、冬場に水浴びをさせる際は部屋の温度を十分に暖めてから行うようにしてください。室温が低いと水浴びを行ったインコやオウムたちが風邪を引いてしまいます。
また、水浴び後にドライヤーを用いる方も多いですが、ドライヤーを使用する際は、インコやオウムから1m以上離れた場所から温風を当てて乾かしてあげましょう。
他にも、就寝前の水浴び禁止、事故に繋がるような底の深い水浴び容器を使用しない、彼らの顔に水をかけないなど細やかな注意がありますので、水浴びさせる際は、正しい知識を身に付けたうえで行うようにしてください。
今回はインコ・オウムそれぞれの水浴びの必要性、また水浴びの方法や温度、時間、頻度、どのようなタイミングで水浴びさせるかについてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
インコやオウムの水浴びシーンはとても可愛らしいため、早くその姿を見たいという飼い主さんも多いと思いますが、飲水投薬中・換羽が長引いている (羽の生え変わり時期)・発情中・生後1ヶ月以内の幼鳥の場合は水浴びを行うことで体力が落ちてしまい、病気になりやすくなるため、飼い主さんは彼らの様子を見ながら水浴びをさせるようにしましょう。