インコやオウムは本能的に自身の体調不良や病気を隠す習性があるため、いくら体調が悪くても飼い主さんに気付かれないように元気なフリをして見せたり、食事をしている様子を見せることがあります。
ですが、なかには「毎朝インコやオウムの健康管理を行っているからうちの子に限ってそんな心配は無い」と思っている新米飼い主さんも大勢いらっしゃるかと思います。
確かに毎朝彼らの健康チェックを行っていれば、体重増減による病気の早期発見などが可能となりますが、この方法では、おなかやおしりの健康状態を確認することはできません。
そこで、今回はインコやオウムのおなかやおしりの健康管理を確認する触診方法をご紹介します。
おなかとおしりの健康管理について
インコやオウムなどの鳥類の健康管理を行う際、おなかとおしりの健康状態もしっかり確認しておきましょう。
特に平らなお腹が体腔内の腫瘍や脂肪、貯留液などによって全体的に膨張したり、一部分膨張しているようならば、生食器疾患または肝肥大・胆嚢嚢腫・腹水症・腎臓腫瘍・その他の腸管腹膜腔内腫瘍などの重篤な病気の恐れがあります。
また、鳥類は多飲多尿症になることが多いため、肛門周辺の皮膚が炎症してしまったり、軟便や下痢が固まって肛門を塞いでしまうことがあります。
こういった病気や症状を防ぐため、1週間に1度健康診断の日を設け、彼らの身体を触診してあげましょう。
まず、おなかの健康状態についてご説明します。
鳥類は非発情期のあいだ、腹部がかなり狭く、おなか側面のほとんどが胸骨で覆われています。
また、哺乳類には存在しない気嚢という器官が存在するため、体腔内の容積が増加しても気嚢が圧迫されるだけで腹部膨大の微候が見られにくいという特徴があります。
そのため、腹部膨大の症状が見られる場合、既に病気の進行がかなり進んでいるため、飼い主さんは速やかに鳥類専門の獣医師さんに診てもらいましょう。
では、おなかの健康状態の確認方法をご説明します。
外貌上の変化
腹壁ヘルニアの場合、腹筋が断裂し、臓器が皮下へと脱出している状態となるため、他の腹部膨大の病気とは異なる外貌上の変化が表れます。
腹壁ヘルニア以外の腹部膨大の病気の場合、おなか全体が大きく膨らむ状態になり、腹壁ヘルニアの場合はおなかが突出または垂れ下がった状態になります。
もうひとつ大きな特徴として、腹壁ヘルニアの場合、ほぼ全ての奨励でおなかの皮膚にキサントーマ化が見られます。
このキサントーマ化は卵管蓄卵材症・卵黄性腹膜炎・卵管嚢胞性過形成などの生食器疾患でも高確率で表れる症状でもあります。キサントーマは炎症の1種であり、皮膚にコレステロールが沈着して黄色くなるため、速やかに動物病院へ連れてゆくようにしましょう。
飼い主が行える触診検査
本来ならば鳥類専門の獣医師さんにお願いしたいところではありますが、毎週動物病院で検査をしてもらうのはインコやオウムにとっても苦痛ですし、飼い主さんのお財布にも影響が出てきます。
もし、飼い鳥たちが元気ならば飼い主さん自身でおなかと胸筋の簡易触診を行い、異常が見られる場合、速やかに動物病院へ行くと良いでしょう。
飼い主さんが行えるおなかの触診方法ですが、非発情時ならば、胸骨端部から肛門のあいだ・恥骨のあいだ・排泄肛が狭くなっており、セキセイインコの場合は恥骨に指を入れることができない状態となっています。
発情時の場合、胸骨端部から肛門のあいだ・恥骨のあいだ・排泄肛が広がり、卵がある場合はこの部分に収まっています。
胸筋の触診方法は、古くから鷹匠に伝わる「シシアテ」という方法を用いて健康チェックを行います。
おなかの触診は人差し指1本で行うのに対し、胸筋の触診は人差し指と中指の2本使って行うのが基本となります。
鳥類は体調が悪いと1日足らずで胸筋が痩せると言われており、正確な体調の良し悪しを瞬時に判断することができるため、飼い主さんは「シシアテ」をマスターしておくことを推奨します。
ただ、主観的な測定方法になりますので、体重測定の結果を含めて体調の良し悪しを決めるのが理想的とされています。
海外では胸筋の触診方法を3から5段階評価が一般的となっておりますが、日本では6段階評価 (BC)を用いて診断されることが多いようです。
胸筋の6段階評価とセキセイインコの基本的な体型
- BC+1:太り過ぎ
- BC0:筋肉質 (ガッチリ体型)
- BC-1:正常
- BC-2:削痩 (さくそう)
- BC-3:重度削痩
- BC-4:危篤
次におしりの健康チェック方法ですが、多尿や軟便によっておしりが汚れてしまうと、肛門付近の皮膚が炎症を起こし、おしりを足で掻いて傷付けてしまったり、糞が固まって肛門をふさいでしまうことがあります。
おしりが汚れている場合はお湯で濡らしたキッチンペーパーもしくは濡れティッシュで汚れた付近を蒸すように覆い、ふやかして優しく拭き取ってあげましょう。
健康なインコやオウムは、おしりが汚れたりしないため、おしりが汚れるということは何かしらの不調を引き起こしている状態となります。
速やかに信頼できる鳥類専門の獣医師に診てもらうようにしてください。
触診の際に必ず行ってほしい体表腫瘍チェック
インコやオウムなどの鳥類は腫瘍ができやすい動物ですので、毎朝の健康管理や週に1度の健康診断の他に体表腫瘍チェックも欠かさずに行ってください。
ただ、鳥類の体表は羽毛に覆われているため外貌だけでは判断することができません。
犬や猫とは違い、インコやオウムの場合、スキンシップの時間が短いため、スキンシップを取るときは、出来る限り腫瘍チェックを行うように心掛けてください。
特に尾脂腺部・翼端部・腹部・頸部に腫瘍ができやすい傾向がありますので、この部分を入念にチェックするようにしましょう。
今回はインコ・オウムの健康管理、触診で分かることをご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
インコやオウムなどの鳥類は、体調不良でも無理をする傾向があるため、手遅れになるまで気付かない飼い主さんも大勢いらっしゃいます。
1週間に1度は彼らの健康診断日を設け、毎日の放鳥時にはスキンシップを取りながら、腫瘍が無いかどうかを確認するように心掛けましょう。