インコやオウムの食事は何かと聞かれた際、パッと頭に思い浮かぶのは、稗や粟、ひまわりの種などのシード類かと思いますが、インコやオウムの種類によって主食となる食べ物が異なることをご存知ですか。
例えば、飼い鳥として最も人気の高いセキセイインコやオカメインコなどはシード類を主食とする穀食鳥類、ベニコンゴウインコやキソデボウシインコなどは果物を好んで食べる果食鳥類、キバタンや文鳥などは植物性の食べ物に加え、昆虫類なども合わせて食べる雑食鳥類など、現在飼い鳥として飼養されているコンパニオンバードたちはそれぞれ異なる食性を持っています。
ですが、日本で飼養されているインコやオウムの多くが、シード類を主食とする穀食鳥類であり、稗・粟・黍・カナリーシードなどを中心とした混合餌、もしくは、穀食鳥類向けに開発されたペレットを与えるのが一般的となっています。
しかし、インコやオウムも人間と同じく、生きてゆく上で炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン類・ミネラル類の摂取は必要不可欠のため、シード類だけ与えていれば良いというわけではありません。
そこで、今回はインコに必要な栄養素と補給方法、またサプリメントを与える場合の注意についてご説明します。
インコに必要な栄養素
全てのインコやオウムにとって必要不可欠な栄養素と言われているのが、「炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン類・ミネラル類」の5種類ですが、食性の違いからそれぞれの身体に合った摂取方法や摂取量、摂取比などが決まっています。
例えば、成長途中のヒナの場合、健康なからだをつくるために成鳥のおよそ2倍のたんぱく質を摂る必要があるのですが、換羽の時期を迎えた成鳥もヒナと同じく、通常時よりも2倍のたんぱく質を摂取する必要があります。
また、発情期から産卵中のメスの場合、丈夫な卵殻をつくるためにいつもより多くのカルシウムを摂取しなければなりません。
そのため、飼い主さんは彼らに与える餌について、時期に合わせた配合や供給を行うことが重要になります。
さらに、日本には四季というものがありますので、気温の下がる冬場はインコやオウムの体温低下を防ぐために夏場よりも脂質含有量の高い餌を用意する必要があります。
ただ、現在は昔と比べると暖房器具も普及しており、温かい環境で彼らを飼養することができるようになりましたので、脂質の高い餌を与えてしまうと肥満の原因となりますので、飼育環境によってどのような餌を与えるのかを決めるようにしましょう。
よく「飼い鳥が快適に暮らすためには野生下の生活を再現するとよい」と言われておりますが、食事の面において、多々注意しなければならないことが1つあります。
野生で暮らすインコやオウムたちのなかには、長距離移動や毎日餌が食べられるかどうかの不安を抱えながら生活している個体も多く、なかには脂肪分を豊富に含む「濃厚飼料」を食べたがる場合があります。
しかし、人間の世界で暮らすインコやオウムたちは、野生ほどエネルギーを必要としないため、野生種と同じ餌を与えてしまうと肥満の原因となります。
飼い鳥たちが快適に暮らすために野生化の生活を再現することはとても大切なことではありますが、野生に準じた食事を与えるのではなく、野生種の食事内容をベースにエネルギー量を抑えた「おうちごはん」を与えるのが、彼らを長生きさせる秘訣となります。
栄養素の補給方法
シード類を主食とするセキセイインコやオカメインコなどの穀食鳥類の場合、ビタミンA・ビタミンB12・ビタミンD3・ビタミンK・ヨウ素などの栄養成分は一切含まれておりません。
また、カルシウムなどのミネラル類も1日に必要な量を満たすほど含有されているわけではありませんので、長期に渡ってシード類のみの食事を彼らに与えてしまうと、栄養不足に陥り、最悪の場合、死に至ることもあります。
特に鳥類で最も大切なミネラル類と言われている「カルシウム」は、牡蠣の殻を粉末状にした「ボレー粉」もしくは乾燥させたイカの甲「カットルボーン」などを与えるのが一般的となっています。
しかし、甲状腺ホルモンの原材料となるヨウ素や各種ビタミン類もインコやオウムの健康なからだづくりには欠かせない栄養成分ですので、穀食鳥類の場合、毎日青菜を与え、ビタミンとミネラルをバランス良く摂取させることが推奨されています。
サプリメントを与える際の注意点
シード類に不足している栄養素をボレー粉やカットルボーン、青菜などで補ったとしても、食性上どうしても摂取することが難しい栄養素も多々あります。
そういうときは、鳥専門の動物病院などで販売されているサプリメントを与えるのがオススメです。
ただ、サプリメントを与える場合、2つの注意点があります。
まず1つめは、サプリメントを与える前に必ず鳥専門の動物病院にて健康診断を行うことです。
飼い鳥の健康状態を全く知らない状態でサプリメントを与えてしまうと、体調不良や重篤な病を引き起こす可能性があり、さらに鳥の種類や体質、体調などによって利用できるサプリメントが異なるからです。
サプリメントを与える際は、必ずかかりつけの動物病院で健康診断を受けてから獣医師と相談し、家族の一員である彼らを危険にさらすリスクを最小限に抑えるようにしましょう。
2つめは、サプリメントの与え方です。
飼い鳥専用のサプリメントには、餌に振りかけるものや水に混ぜるものなど様々な種類がありますが、水に混ぜるサプリメントの場合、水が傷みやすいので、こまめに水を換える必要があります。
水を換えるのが面倒だという方は、彼らの大好物な餌に振りかけるのがオススメです。
もし、サプリメントに異変が見られる場合、たくさん残っていたとしても捨ててしまうようにしましょう。
勿体無いからと言って使い続けてしまうと、体調不良や重篤な病を引き起こす原因となります。
購入時とは異なる場合は絶対に使用しないでください。
今回はインコに必要な栄養素と補給方法、またサプリメントを与える場合の注意についてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
インコやオウムなどのコンパニオンバードも、あなたと同じ炭水化物や脂質、たんぱく質などの栄養素が必要であり、特に不足しがちなビタミン類とミネラル類は主食では摂取することができないため、別の方法で摂らせる必要があります。
彼らをお迎えした以上、あなたは彼らの家族であり、パートナーでもありますので、彼らが天命を全うできるよう、食事だけではなく、運動やコミュニケーションなども積極的に取るように気を遣うように心掛けましょう。