初めてインコやオウムをお迎えするという新米飼い主さんは、ペットショップやブリーダーの方から必ず餌やおやつの与え方や健康な身体を維持するために必要な栄養などについてレクチャーされることと思います。
「どの飼い鳥もアワやヒエなどの穀物を与えればいいのでは?」と思われた方も多いかもしれませんが、鳥類も人間や他の動物たちと同じように、生息地や種類などによって、餌となるものが大きく異なります。
例えば、セキセイインコやオカメインコなど人気のコンパニオンバードたちは、主に穀物種子を主食とする穀食性鳥類であり、サザナミインコやキソデボウシインコなどの飼い鳥たちは、主に種子を包む柔らかい果肉を主食とする果食・種実食性鳥類、植物の種子類だけではなく、昆虫類も捕食して食べている文鳥やキバタンなどは雑食性とそれぞれ分類されています。
では、アフリカ大陸を中心に分布しているコザクラインコやボタンインコなどのラブバードたちは、穀食性・果食性・蜜食性・雑食性のうち、どの食性に属しているのでしょうか。
今回はコザクラインコの食性から考える餌とおやつの選び方と与え方、そして栄養素のバランスについてご説明します。
コザクラインコの食性から考える餌の選び方と与え方
コザクラインコやボタンインコといったラブバードは、セキセイインコやオカメインコなどと同じ「穀食性」のコンパニオンバードです。
穀食性のコンパニオンバードが人間の世界で暮らす場合、粟や稗などの「シード食」もしくは不足しがちな栄養素をバランス良く含んだ「ペレット食」のどちらかを与えるのが基本となります。
シード食について
シード食の「シード」とは、粟・稗・黍・カナリーシードといった薄皮に包まれた小さな粒の実のことであり、コザクラインコたちが自分で皮を剥いて食べる「殻付き」と既に皮が剥かれている「剥き餌」の2タイプが販売されています。
穀食性のインコやオウムにシード食を与えるならば、断然「殻付き」がオススメです。
「殻付きのシード食はケージ内外がすぐに汚れてしまうから剥き餌を与えたい」という飼い主さんも多いと思いますが、殻付きの方が剥き餌に比べて栄養価が高いため、健康な個体に剥き餌を与えてしまうと、栄養不足に陥る危険性があります。
剥き餌はあくまで殻を自分で剥くことができない幼鳥や嘴の病気で食事が満足に取れない個体のためのごはんですので、健康な個体には与えないようにしてください。
ただ、シード食はタンパク質が不足しがちになるため、副食として青菜やサプリメントなどを用意する必要があります。
また、カナリーシードは別名「発情飼料」と呼ばれておりますので、カナリーシードを含まない三種混合やその他のシード食を与えるのが良いとされておりますが、栄養バランスを考えると四種混合を与えた方が良いと言われることもありますので、コザクラインコやボタンインコなどのラブバードをお迎えする際は、鳥類専門のペットショップで働いている店員さんやラブバード専門のブリーダーに相談することをオススメします。
ペレット食
ペレット食とは、穀食性のインコやオウムの健康維持のために考案された完全栄養食です。
ペレット食の魅力は、なんといっても栄養バランスに優れているところです。
穀食性のインコやオウムは、たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足しやすいため、副食として青菜やサプリメント、たんぱく質を含む小麦や燕麦、ソバの実などを与える必要があるのですが、ペレットには、彼らが不足しがちな栄養成分がバランス良く含まれておりますので、副食を用意する必要がありません。
ただし、ペレットは開発されてから30年ほどしか経過していないので、
- 長期的に与えた場合の影響が不明
- 食生活が単調になりやすい
- シードに比べてインコやオウムたちの食いつきが悪い
- 使用されている原材料の情報公開が不十分
など様々なデメリットも存在します。
また、ペレットは同じ食性のインコやオウムであっても、コンパニオンバードの種類によって必要となる栄養素が全く異なりますので、コザクラインコをお迎えしようとお考えの方は「コザクラインコ専用」と表記されたペレットを購入するようにしてください。
では、コザクラインコやボタンインコなどのラブバードに与える餌の選び方と与え方についてまとめてみましたので、これからラブバードをお迎えする予定の新米飼い主さんは是非参考にしてください。
コザクラインコやボタンインコに与える餌の選び方と与え方のポイント
- シード食で気を付ける点
- シード食を与える場合、「殻付き」であることを確認する。
- シード食はタンパク質などの栄養素が不足しがちになるため、副食として青菜やサプリメント、その他のシードを必ず用意すること。
- コザクラインコやボタンインコは小型のインコですので、ひまわりの種や麻の実などの脂肪分の高いシード類やドライフルーツなどの糖分の高い食べ物が含まれる中型インコ専用の餌は与えないこと。
- ペレット食で気を付ける点
- ペレットは人工飼料のため、コザクラインコやボタンインコが食べない可能性がある。
- ペレットもシード食と同じく、個体によって偏食する可能性がありますので、偏食しないように念のため複数のメーカーのペレットを混ぜて食べさせること。
- ペレットによっては着色料や発色剤などが使用されているものもありますので、色の付いていないペレットを購入すること。
- 食べなくても無理に食べさせない。
ペレットをコザクラインコやボタンインコに食べさせたい飼い主さんは、「インコの主食ペレットについて、ペレットの選び方とペレット食への切り替え方、主食ペレットを与えることのメリット・デメリット」をご参照ください。
コザクラインコに与えるおやつの選び方と与え方
おやつは餌とは違い、必ず与えなくてはならないものではないため無理して用意する必要はありません。
しかし、コザクラインコやボタンインコなどのラブバードたちにとって、おやつとは飼い主さんとコミュニケーションをとるための大切な要素ですので、彼らが喜ぶおやつを選んで与えるのが基本となります。
現在、鳥類専用のおやつが多数販売されておりますので、ラブバード専用のおやつを購入して与えましょう。
おやつの与え方ですが、基本的にはコザクラインコやボタンインコたちとの信頼関係を築きたいときに用いるのが1番なのですが、問題行動をしつけるときや芸などを教えるときにも役に立ちます。
またおやつの選び方ですが、個体によって好みが異なりますので、週に2回ほどおやつを与える日を設け、季節の果物やシードをコーンシロップで固めたものなど様々な種類のおやつを用意して、彼らの好みを探ってゆきましょう。
好みのおやつを知っておくと、コザクラインコやボタンインコが病気になって食欲不振に陥ったとき、食欲を回復するためのきっかけを作ることができます。
ただし、おやつはあくまで「特別な食べ物」ですので、毎日与えるのは避けてください。
コンパニオンバードたちも人間と同じく、毎日おやつを食べていると大好きな食べ物であっても食べ飽きてしまって嫌いになることもありますし、しつけや食欲不振を脱する効果が薄れてしまいます。
穀食性のコンパニオンバードであるコザクラインコやボタンインコは、消化管が糖質の消化に慣れていないため、糖分を糧とする細菌類への抵抗力が弱いという特徴があります。
そのため、果物などの甘い食べ物ばかりを与えてしまうと腸内環境が乱れ、おなかを壊したり、病気を引き起こす原因となりますので、フレッシュな果物・ドライフルーツ・シードをコーンシロップで固めたおやつなどは与え過ぎないよう、気を付けましょう。
他にも、ひまわりの種やサフラワーなど高脂肪シードや鳥専用のスナック菓子やビスケット、ヨーグルトなどもおやつとして与えることができますが、高脂肪シードは肥満や発情を促す原因となりますので、1日に5粒まで、鳥専用のおやつも嗜好性が高いため、どうしても食欲が戻らない病中のときなどに与えるようにしてください。
今回はコザクラインコやボタンインコの食性から考える餌やおやつの選び方と与え方についてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
食性は出身地や種類などによって大きく異なりますので、それぞれの種類に合った餌やおやつを与えるようにし、たとえ欲しがったとしても人間の食べているものは絶対に与えないようにしてください。