優しい丸みを帯びた体型とはんなりとした京人形のような愛らしさを持つコザクラインコは、ラブバードのなかでも比較的お手頃な価格でお迎えすることができるため、セキセイインコやオカメインコと並ぶ人気のコンパニオンバードとなっています。
しかし、彼らの故郷はアフリカ大陸南西部の大西洋岸にあるアンゴラ共和国からナミビア共和国の半乾燥地域のため、日本の高温多湿の夏はコザクラインコたちにとっては非常に過酷な環境と言えるでしょう。
そこで、今回はコザクラインコが日本の高温多湿の夏を健やかに過ごせる飼い方についてご説明します。
コザクラインコのケージを置く場所
まず、コザクラインコの夏の飼い方をご説明する前に、お迎えしたコザクラインコのケージをどこへ置くのかが重要となります。
下記にコザクラインコの嫌がる環境と場所をまとめましたので、ケージを置く参考にしてください。
コザクラインコが嫌がる環境
- 1日中暗い場所
- 人間が滅多に出入りしない部屋
- 隙間風が入り込む場所
- エアコンの風が直接当たる場所
- 風通しの悪い場所
- 湿度が高い場所
- 温度差の激しい場所
- 直射日光の当たる場所
- 騒がしくてやかましい場所
- 煙やガスなどが流れてくるキッチン付近
- 犬や猫などのコザクラインコに危害を与える恐れのある動物が居るもしくは見える場所
- コザクラインコと相性の悪い飼い鳥の隣
また、コザクラインコなどの鳥類は基本的に高い場所を好む習性があるのですが、人間を見下ろす位置にケージを置いてしまうと、“自分の方が偉いんだ!”と勘違いさせてしまう恐れがありますので、ケージを置く際は人間と同じ目線に設置するのがポイントとなります。
夏場のコザクラインコの飼い方
コザクラインコの故郷である、アンゴラ共和国やナミビア共和国の気温や湿度は日本と大きく異なります。
アンゴラ共和国は、海岸沿いに南北にのびる平野部、中南部に標高1,500mを越える中央高地があり、それ以外の地域には標高500mから1,000mの丘陵地となっています。
この高低差の激しい国土と近海を寒流が流れていることで、海岸沿いはサバンナ気候、内陸は熱帯雨林気候、南部の海岸沿いは砂漠気候と様々な気候が存在する国として有名です。
アンゴラ共和国の年間降水量は400mmほどであり、日本の年間降水量のおよそ1/4以下と少雨となっています。
アンゴラ共和国には、雨期と乾期があり、雨期の季節は高温多湿で平均気温25℃~27℃、最高で35℃まで上がることもあるそうです。
乾期の季節は、雨期とは異なり比較的涼しく平均気温は20℃~24℃、最低気温は15℃まで下がることもあります。
ナミビア共和国は、南部・中央部・東部は冬でも日中の気温が18℃~25℃と高いのですが、朝晩は氷点下になることもあるそうです。
夏は日中35℃以上になることが多いのですが、雨期のあいだは日中15℃~25℃ほどとなっており、夏よりも過ごしやすい季節となっています。
ナミビア共和国は寒流の影響によって、沿岸に濃霧が発生しやすく、霞んでいる日も多いと言われています。
また、北部は亜熱帯気候のため、冬でも日中の気温は26度ほどあり、夏は湿度も気温も高く43℃を越える猛暑となります。
ただ、日本の夏は気温30℃以上、湿度70%を超えている日が多いため、コザクラインコの故郷とは比べものにならないほどジメッとした蒸し暑い季節となっています。
ですので、コザクラインコたちにとって、日本の夏は1年のうちでとっても過酷な時期となるでしょう。
ジメッとした蒸し暑い日本の夏をコザクラインコに乗り切ってもらうためには、熱中症と暑さ対策を兼ねてエアコンのドライ機能を活用するのがオススメです。
特に日本は春から夏へと季節が移り変わる際に「梅雨」が入りますので、エアコンのドライ機能はとっても重宝します。
ただし、エアコンのドライ機能に頼り過ぎてコザクラインコが快適に過ごせる湿度と温度を下回ってしまわないよう、ケージを設置している部屋には必ず湿度計と温度計を設置するようにしてください。
コザクラインコと暑さ対策
「コザクラインコはアフリカ大陸出身だから暑さに強い」と思っている飼い主さんも多いかもしれませんが、コザクラインコの故郷は半乾燥地域ですので、年間降水量はとても少なく、平均気温も7℃~28℃ですので、寒さには強いですが、湿気には弱い体質となります。
また、夏は丁度「換羽」の時期になりますので、体力が無くなり、病気になりやすくなります。
特に湿度が高くなる梅雨の時期はカビや細菌の繁殖が著しくなるため衛生管理や健康管理には十分気を付けましょう。
よく室内でコザクラインコを飼育しているから熱中症や暑さ対策は万全だと思っている新米飼い主さんも多いですが、ケージを置く場所によっては直射日光が差し込んだり、窓やドアを閉め切っていて室温が上昇してしまい、日射病や熱射病になってしまうこともあります。
コザクラインコに日本の夏を健康的に乗り切ってもらうためには、直射日光・エアコンの風・湿度や温度の増減には十分注意してください。
小型のケージを利用されている場合、凍らせた2リットルのペットボトルにタオルを巻いてケージの上に設置することでクーラー代わりとなりますので、2時間ほどお家を空けなければならないときにお試しください。
ただし、コザクラインコに水滴が掛からないように気を付けましょう。
コンパニオンバードたちは、暑くなると身体を細くさせて肩をいからせるように羽を広げたり、くちをパクパクと動かしたりしますので、そういった行動がみられる場合は、熱中症になっている可能性がありますので、速やかに信頼できる鳥類専門の動物病院へ連れて行くようにしてください。
今回はコザクラインコの夏の過ごし方についてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
野生のコザクラインコたちは、主に海抜1,500m以上の乾燥した高地を中心に生息しており、近くに水場があることが必須条件となっておりますので、これからコザクラインコをお迎えしようとお考えの方は、彼らがどのような環境を好むのかをしっかり学んでおくことが大切です。